INTERVIEW-Vol.7 善家誠 / 善家尚史

日本プロサーフィン連盟の草創期メンバーである父・善家誠さんと、現在もトッププロとして現役で活躍する息子・善家尚史さん。ともに湘南・鵠沼で生まれ育った善家親子は、世代を超え日本の海を見守ってきた。サーファーならではの目線で捉えるビーチの未来とは?

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善家誠・善家尚史 / 写真 横山泰介
湘南・鵠沼海岸をホームポイントとするプロサーファー親子。誠さんは日本サーフィン界のパイオニアであり、稲村クラシックの前身である「ナガヌマ・クラシック」の初代チャンピオン。尚史さんは現在31歳。昨年には、JPSA公認プロ10年目にして初優勝を獲得。

SURFRIDER FOUNDATION JAPAN (以下SFJ )
尚史さんがサーフィンを始めたのは、やはりお父さんの影響ですか?

尚史 そうですね。最初に海へ連れて行ってくれたのは父でしたから。ただ、その頃にはもう父が現役を引退していたので、サーフィン姿を見る機会はほとんどなかったです。僕も小学生の時にはサッカーや子役活動をしていたので、まさかサーフィンをやるとは思ってなかったんですよね。

SFJ じゃあサーフィンを始めたのは、結構遅かったんですね。

尚史 はい。本格的には始めたのは中学校1年生の夏です。当時1ヶ月ほどドラマの撮影があって、学校や部活にも行けない日々が続いていました。そうなると、同級生の輪にも入り込めなくなって…。そんな時、たまたまサーフィンに連れていってもらい、「なんだこのスポーツは!?」ってなったんですよね。

SFJ 誠さんが始めたきっかけは何だったんですか?

誠 私は学校が湘南学園だったので、友達の影響ですね。その後、プロ連盟ができたので、自己申告してプロの道へ。当時は「なる」って言えば、なれる時代でしたから(笑)。

SFJ 尚史さんもプロになって10年。昨年を振り返ると、すごく良かったですよね。

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地元鵠沼海岸で開催されたオールジャパンプロにて見事優勝! Photo / 市川 紀元

尚史 そうですね。去年が良すぎたって感じですよね。その前までは本当に底辺だったので、「やっと日の目を見れた!」って思いました。実は引退を考えていたので1戦目も出ず、ゆっくりやっていこう、と決めてたんです。

SFJ それが逆にリラックスしたサーフィンを実践できた理由かもしれないですね。ところで、尚史さんっていつもヒートが終わるたびにビーチクリーンをして上がってきますよね。普段からそうなんですか?

尚史 はい。海から上がる時には毎回やってます。やはり歳を重ねるにつれて、自分がどれだけ幸せな状況でサーフィンができているのかを理解できるようになり、海への感謝の気持ちが強くなりました。その上での自分なりの答えです。ある人から「海に感謝を覚えれば、あなたは本当にもっとうまくいくわよ」と言われたのもきっかけですね。あと、ミック・ファニングをバリで見た時、ゴミを拾って海から上がってきた光景にも強い衝撃を受けました。それからは、海に入る時はお辞儀をして、上がったらお礼をする。この動きもやらないと、逆に気持ち悪いです。

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1戦目をスキップしたにもかかわらず、2016年JPSAランキング4位で終了した。Photo / 市川 紀元

SFJ 誠さんの世代はどうだったんですか?

誠 そういうことは全くしてなかったですね。ゴミ掃除には参加してましたが、当時の鵠沼海岸ってもっとゴミだらけでひどかった。全然気にしない時代だったから、今、写真を見ると愕然としちゃいますよ。だから、意識って大切ですよね。20年でこんなに変わるんですから。

尚史 鵠沼はゴミ箱もあるので、海上がりに少しでも拾ってほしい。それを200人がやれば、毎日どれだけ拾えるんだろう。って思いますね。

SFJ お二人はサーファー親子の先駆け的存在でもあると思うのですが、お互いに影響し合うことはありますか?

尚史 あんまりないですね。アドバイスを聞くことも少ないです。お互いのサーフィンに全く関わってないんです、本当に(笑)。

誠 同じようにプロサーファーになることも望んでなかったですよね。やらせようともしなかった。二人でサーフィンの話をするようになったのもこの2、3年ですよ。最近は、新島にも毎年一緒に行きますよ。

尚史 JPSAで60歳以上の部があるんですよ。僕の試合は2年連続ダメなので、親父の保護者みたいなもんです(笑)。

SFJ 素敵な話ですね。これから湘南は特に3世代目っていうのがスタンダードになってくると思うので、ちゃんと海の環境を残していくことも大切ですね。

尚史 そうですね。サーフィンは海があってこそできるスポーツ。だからその海に感謝して、サーフィンを続けていきたいと思います。人間が勝手に作ったものによって、砂が来なくなっちゃったりしているわけだから、テトラを入れたりだとか、そういう自然の姿を壊すことはもうやめてほしい。海と多く触れ合うサーファーだからこそ、自発的に態度で示していきたいです。

誠 サーフィンはとても素晴らしいスポーツ。これからも続けられるように、ビーチを守っていきたいなと思いますね。

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この日の鵠沼海岸にゴミは少なかった。

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海の大切さを肌で感じていることは、私たちサーファー共通の意識。

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SFJで保管しているビンデージボード、Zenkeモデルにメッセージを頂きました。

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次世代に少しでも良い環境を残こすこと。意識を繋げていくことが大切だと実感しました。

取材・構成 : 佐野 崇

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