海とともに生きる —— 由美かおるさんが語る、湘南と呼吸、そして未来への思い

快晴に恵まれた湘南海岸。波の音と潮風に包まれた湘南海岸公園サーフビレッジには、朝から多くの人が集まりました。11月2日(日)、「カーニバル湘南」のステージに立ったのは、俳優・歌手の由美かおるさん。サーフライダーファウンデーションが主催するこのイベントで、由美さんは「100歳まで健やかに Breathing(ブリージング)体操」をテーマに登壇し、深い呼吸と健康、そして海への思いを語ってくださいました。
海と湘南への思い
「デビューしてすぐの頃、TVドラマ『日本沈没』のロケで湘南の海岸に来たことがありました。その時に見た海の景色がとても印象的で、今でも忘れられません」と由美さん。俳優として国内外を飛び回るなかでも、海はいつも心の拠りどころだったといいます。京都出身で海のない土地に育ちながらも、幼い頃に母の故郷・天草で見た朝日や夕陽の美しさが深く胸に残っているそうです。
「海の近くに住めたらいいなと思っていました。海は食べ物も美味しくて、空気も新鮮。自然と人の心を整えてくれる場所なんです」と微笑みます。
久しぶりに訪れた湘南については、「今日も富士山が正面に見えて本当に感動しました。お洒落で自然が美しく、若い頃の思い出がよみがえりましたね」と語り、変わらぬ湘南の魅力に心を打たれた様子でした。

海の環境を守るということ
そんな由美さんが強い関心を寄せているのが、海の環境問題です。
「30年以上前から、海に行くたびに『あれ、ゴミが多いな』『これは日本のものではないな』と気づくようになりました。世界の海はすべてつながっているから、どこかで出たゴミは必ず別の場所に流れ着く。だからこそ、世界中の人が自然を大切にしなければいけないと思っています」と話します。
現在は、全国でビーチクリーング活動を行う「BEACH PRO」のアンバサダーとしても活動中です。
「実際に四国でビーチクリーンに参加しました。特別なクルマ(ビーチクリーナー)で砂浜を掃除していくと、信じられないほど多くのゴミが集まるんです。でも、みんなで協力すれば海はちゃんと綺麗になる。人生は人との出会いの連続ですよね。こうした活動を通して、たくさんの素敵な出会いをいただいています」と語る笑顔からは、自然と人への深い愛情が伝わってきます。

呼吸がもたらす心と体の再生
由美さんが40年以上続けている「ブリージング体操」は、呼吸を通して体と心を整える健康法です。
「呼吸は、生まれた瞬間に始まり、最後の瞬間まで続く大切な営みです。深く、ゆっくりと呼吸をすることで、体の隅々にまでエネルギーが巡り、自然治癒力が高まります。呼吸は血流を整え、細胞を再生させてくれるんです」と説明します。
由美さんが提唱する「コア呼吸」や「足芯(そくしん)呼吸」は、体の中心=丹田を意識しながら行う呼吸法。
「地球のエネルギーを吸い上げ、体の中を巡らせ、また地球に返していく。そんなイメージで呼吸を続けると、自然と姿勢が整い、心が穏やかになります。ブリージングは、自然とともに生きるための呼吸なんです」と由美さんは語ります。
「ブリージング体操」を多くの方に伝えて、多くの方に健康で幸せに生きていただきたい。全国各地で続ける講演活動は、そんな思いから生まれるライフワークなのです。

次世代へのメッセージ
最後に、海と自然を愛する次世代へのメッセージをうかがいました。
「たった一度の人生ですから、自分の中にある素晴らしい力を呼吸でよみがえらせてほしいと思います。自然を感じながら、自分の体と心に正直に生きること。それが本当の健康だと思うんです。海を綺麗にすることも、自分を整えることも、すべてはつながっています。ぜひ、今日から深呼吸をしてみてください。きっと、新しい自分に出会えると思います」
由美かおるさんが語る「呼吸」と「自然」は、どちらも生きることそのもの。
海と人、自然と心――そのつながりを大切にすることが、これからの時代を健やかに生きる第一歩なのかもしれません。

由美かおる(ゆみ・かおる)/ 写真 横山泰介
京都府生まれ。女優として映画・ドラマ・舞台・CMなど幅広く活躍。デビュー以来、健康的でしなやかな美しさを保ち続け、独自の「ブリージング体操」を40年以上にわたり実践・指導している。呼吸と姿勢、そして心の調和を重んじるライフスタイルは多くの支持を集め、全国各地で講演やワークショップも開催。現在は、環境保全活動にも積極的に取り組み、「BEACH PRO」アンバサダーとしてビーチクリーン活動をはじめ、自然と共に生きるメッセージを発信している。
https://yumikaoru-breathing.jp