公立中学校の総合学習でビーチクリーン

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大岐(おおき)の浜といえば、日本でも屈指の風光明媚な海岸として知られている。太平洋に面して、白い砂浜と木々の緑が1.5kmも続く。絶滅危惧種のアカウミガメが産卵する貴重な砂浜として、足摺宇和海国立公園にも指定されている。メローかつファンなビーチブレイクは懐が深くビギナーからエキスパートまで楽しめる。昔から地元サーファーが大切にしてきたサーフポイントだ。

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総合学習の冒頭、環境省・土佐清水自然保護官事務所のアクティブ・レンジャーが、サーフライダーファウンデーション・ジャパンのスタッフを土佐清水市立清水中学校の生徒に紹介

10月7日(金)、地元の土佐清水市立清水中学校2年生の70名が大岐の浜でビーチクリーンを行った。総合学習の一環で、環境省の後援のもと地元のサーフライダーファウンデーション・ジャパン(以下、SFJ)のメンバー、土佐清水市、清水中学校の協力のもと実施された。今回は、ビーチクリーンだけではなく、そのゴミはどこからきたのか、どうしたらゴミが減るのか、そして、地元の海や自然環境を大切にして誇りに思うことを、生徒達が自主的に学ぶ場をつくることが目的であった。

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生徒達にビーチクリーンについて説明する地元SFJのメンバー福永洋一さん。今回のために地区及び市役所との調整役を担った

まずは、校内でビーチクリーンに当たっての注意事項や流れを、地元のSFJメンバー福永洋一さんが生徒にレクチャー。そして、ゲスト講師として招かれたSFJ理事・中川淳が、ビーチクリーン後で行われるワークショップのために、自分が気になったゴミを一つ持ち帰ることを生徒へ課題に。バスで大岐の浜に移動して、グループ単位でビーチクリーンをスタート。初めての体験の生徒がほとんどだったが、黙々と一生懸命にゴミを拾っている姿が印象的だった。「遠足できた時は気づかなかったけど、たくさんのゴミが落ちていてびっくりした」。「なんでこんなモノを海や自然に捨てるのか不思議」。「海に住んでいる生物にも悪影響を与えていると感じた」。「友達と一緒にゴミを集めるのは楽しかった」。生徒からは、さまざまな感想の声が上がった。

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ゴミを拾いながら、「ほとんどがプラスティック製でびっくり」と生徒達

ビーチクリーンで集められたゴミは市が回収。生徒達は気になるゴミを一つ選び学校へ。そして、中川の進行のもとワークショップが開始。生達は自分が持ち帰ったゴミの素材は何かを、タブレット端末を用いインターネットでリサーチ。生徒が結果を発表していくと、その多くがプラチック由来ということがわかった。さらにプラスチックが自然界に分解されるまでの年月も調べていくと……。数百年という時間に驚きの声が。世界の海で起こっているマイクロプラスチックの自然環境への負荷、さらに海洋生物だけでなく、人体も汚染しているという中川の解説に真剣に聞き入っていた。そして、ゴミをなくすにはどうしたらいいか、自分の意見を交換した。

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ビーチクリーン後のワークショップ。生徒達は自分が気になるゴミを学校に持ち帰った

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SFJ代表理事・中川淳はワークショップの進行役を務めた。今、海が直面している環境問題などを伝えながら、生徒達にその解決策や自分ができることは何かを自主的に考えさせるように努めた

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生徒達はPCを利用して自分が拾ったゴミは何かをリサーチ。プラスティックが自然に分解されるまで何百年という時間がかかることに驚きの声も

またワークショップ後には、SFJのアンバサダーで阿波藍プロデューサーでもある永原レキさんが、地元の徳島から駆けつけて藍染やサーフィンの魅力などについてゲスト講演。「気づかない身近なところに、東京や世界へ発信できる魅力がある。大岐の浜が世界的に見ても美しく貴重なビーチ」と力説。海外生活の経験がある永原さんの言葉だけに、生徒にも深く響いたようだった。

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SFJアンバサダー、阿波藍プロデューサー、環境省森里川海プロジェクトアンバサダーとして活躍する永原レキさんが特別講演。同じ四国の徳島県在住ということもあり、生徒も身近に感じて興味深そうに耳を傾けていた

総合学習後に生徒が授業で感じたことを記した感想シートには、さまざまな思いが寄せられていた。「ゴミを拾うことは気持ちよかった。ゴミがあるせいで海の生き物が被害を受けているので、砂浜に行ったらゴミを拾いたい」。「ペットボトルを捨てている人は、どんな感情なのかな」。「なんで浜にゴミがあるか不思議だった。理由を聞いてみて普段生活して出るゴミなのでビックリした」。「ゴミは自然(生物)から人間まで幅広く影響を与えているので、日常生活の中で自分達にできることを見つけていきたい」。「このままだと近い将来に、魚の数と同じ量のゴミになると聞いてびっくりした。このようなことがないように一人一人の意識が必要だと思った」。「清水は椿や海もあるので、いつかふるさとのいいところを発信したい」。「今日一日の活動を通して自分の地元の良さを知れたと思う。でもその良さが失われていることも知れた」。「エコバッグを使うなどして、プラスチック問題を解決したい。そして、きれいな土佐清水を守っていきたい」。

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環境問題を解決する近道の一つは、将来の社会を担う次世代への教育だろう

生徒達が、今回の総合学習で感じたことはそれぞれだ。海のゴミを通して自分達の行動や暮らしへの自省、社会の仕組みへの疑問、地元の素晴らしさへの気づき。「子どもたちが地元のことを知る体験の場が少ない。地域でいろいろな活動をしている方がいること、そして、地元の魅力を知るよいきっかけになったのでは」と学校の関係者も評価。若い時に自分自身で経験したことは、社会人になっても記憶に残る。今後も、SFJは、ビーチクリーンやワークショップを通して、次世代に海の環境問題を考える機会や体験の機会を、教育の場と連携しながら積極につくっていきたい。

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