New!!「ワンハンドビーチクリーン」日本最後の清流、四万十川から

高知の美しい海と川を守るため「ワンハンドビーチクリーン」 活動。サーフボード片手にゴミを拾うその姿は、まさに自然への敬意の表れです。 今回、環境保全に熱意を持つ新市長との対話から、地域と行政が協力して取り組む可能性が広がっています。

令和7年7月15日。梅雨明けの早かった今年、高知県四万十市では海の日を目前に控え、サーフライダーファンデーションジャパン(SFJ)中川代表理事、全日本サーフィン連盟高知支部の増田支部長とともに、就任したばかりの山下元一朗市長を訪問しました。

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四万十市の魅力と自然

高知県西南部に位置する四万十市は、 日本最後の清流として知られる四万十川や、 太平洋に面した平野と双海のサーフビーチなど、豊かな自然と魅力的なサーフポイントが揃っています。

現在、NHKの連続テレビ小説「あんぱん」の放送により観光熱が高まる中、県外からもたくさんの人が訪れており、 四万十市にも波や自然、 地元の食を楽しむサーファーが一年中やって来ています。とはいえ、他の海岸同様に海岸漂着ゴミの問題は深刻です。

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四万十市長との意見交換

私は、 これまでこの地域での海岸漂着ゴミの収集方法や保管場所について、 SFJ や行政に相談してきた経緯をお伝えし、中川代表からは、SFJ の全国的な取り組みや、各地の海洋ゴミの処理に関する事例を共有しました。

それに対し山下市長は、「四万十川を中心とした山・ 川・ 海は、 本市にとっても大切な観光資源。 限られた予算の中でも自然を守ることはとても重要です。 地域住民の自主的なビーチクリーン活動に行政が連携できる仕組みがあれば面白いですね」と前向きな姿勢を示してくださり、「時間が合えば、実際に現場で活動しているサーファーたちと話してみたい」とおっしゃいました。

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双海サーフビーチでの視察

そして、日本の国民の祝日である「海の日」の7月21日には公務ではなく私人として、市長が双海サーフビーチを訪問。午前中には四万十川上流域の清掃にも参加され、 精力的に環境保全に取り組まれている様子がうかがえました。前日には、 高知県西南部サーフポイントで毎年恒例の、 ビーチクリーン活動が行われ、 双海ビーチにも多くの漂着ゴミが集まっていました。

地元の小野さんからは、こんなお話も。「最初はある一人の地元住民が浜に漂着するゴミを集め始めたことがきっかけでした。 それに影響を受けてローカルサーファーが、 ボードを片手にワンハンドでゴミ拾いをするようになり、 今ではこの辺りで一番ゴミの少ないビーチになりました」

集まったゴミは、一定量になると県に連絡して回収をお願いしているそうです。

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看板に込められた思い

現在、双海ビーチには 2 枚の看板があります。一つは高知県が設置した「海のゴミを置かないでください」というもの。 すぐそばには埋設された重要インフラがあり、保護目的で設置されています。

もう一つは地元有志による看板で、「家庭ゴミや弁当のゴミは捨てないでください」 と明記されています。以前はゴミ箱もありましたが、不適切な利用により動物被害が発生し、撤去されました。今では、サーファーたちは自然への敬意を持ち、自らゴミを拾うのが当たり前になっています。

視察を終えて現地を実際に訪れた山下市長は、「地元住民がボランティアで行っている素晴らしい活動に、市としても協力できるよう前向きに検討していきたい」との言葉もいただき、次回のアクションにつながる期待が高まりました。

私たちSFJ は、今後も多くの人々に環境問題を知ってもらい、地域住民と行政の橋渡し役となるべく対話を続けていきます。

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