インタビュー

INTERVIEW-Vol.20 Chad Nelsen

今更ではあるが、世界の常識や生活様式を一瞬にして変えてしまったコロナウィルス。一連のコロナ禍はサーフィンをする人々の生活も大きく変化させてしまった。一向に予断を許さない状況下の中でも、人々は新しい生活様式を受け入れながら、日常を取り戻そうと奮闘している。このコロナ禍はサーフィンや海の環境にどうな影響を与えるのか? 世界でも波及した一連のサーフィン自粛の効果や意義はあったのか? 6月のある日、オンラインにて米国Surfrider Foundation CEOを務めるDr. Chad Nelsenにインタビューを行い、彼の発言を下記に纏めた。

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-Surfrider Foundation Japan (以下SFJ)
今日はお忙しい中ありがとうございます。近い場所にはいますが、現在もまだそちらのオフィスも閉鎖中と言うこともあり、オンラインでのインタビューとなりますが、よろしくお願いします。

-Chad Nelson (以下CN)
とんでもないこちらこそ宜しくお願いします。

-SFJ
今回メインにお伺いしたいことは2つあります。 
まず一つは今回、世界的な広がったコロナウィルスの脅威により、3月頃から全米各地で始まったロックダウンの影響で各ビーチなども閉鎖され、地域社会同様にサーフコミュニティ全体にも大きなショック与えました。ソーシャルメディアを中心に様々な議論も交わされました。Surfrider Foundationとしても手探りの状況下の中で、サーフィンとウィルス予防との関わり方など、STAY HOMEのメッセージも含めて、どの様な効果があったでしょうか?またウィルスの媒介度や危険性など全く手探りの状況下の中で日々発信するメッセージも変化してきたと思いますが、世界規模でのウィルスの媒介の規模はまだ収まっていませんが、日常のサーフィンやビーチライフに限って言えば人々が海に戻ったと思います。一連のメッセージやサーファーへの喚起を現時点で振り返りどのように思われますか?

そして二つ目は今後のサーフコミニティーはどのように変化していくと思いますか?移動やローカリズム、様々なイベントや集会など、コロナ禍の中で大きく変化することは間違いないとは思いますが、SFとして今後どのように考えているのか?そして何をするのが環境への最善策なのかなど、マクロな視点とミクロな視点があるとは思いますが、相対に見てサーフコミュニティはどの様に変化していくとお考えですか? 明確な答えを見出す段階ではないとは思いますが、現時点でのお考えをお聞かせください。 

-SFJ
まずは、今回の一連のコロナ禍でまずSurfrider Foundationとしてどのような、影響がありましたか?

-CN
我々もこんな事は勿論予想もしていないので、とても困惑しました。そもそも我々の団体は環境保全を目的する団体の為に、活動の多くはビーチクリーン、ロビー活動、サーフムービーナイトなど人が多く集まる事を前提としています。しかしこの件で一切そんな事ができなくなってしまったのですから。それらが全てキャンセルとなり、かなりの打撃となったことは事実です。それでもコミュニティの継続と繋がりは必要の為、他の団体や会社と同じくZoomや様々なオンラインツールを駆使して各地域との繋がりや継続的な意見交換は続けていました。

-SFJ
なるほどですね、ロックダウン中もSFが関わり、ニューヨーク州、ニュージャージー州を跨ぐパイプラインの建設も環境的な見地から見直しとなりましたね。それなども可能な限りの少人数でワシントン州での講演会を開いての結果ですよね。

-CN
そうですね、この案件などもZoomなどのツールを活用しながら、各地域の部署と連携しながら、どうしても行かなければならない首都ワシントン州への公聴会やロビー活動なども可能な限りの少人数で遂行しました。今までは考えられない方法でしたが、結果としてとても上手くいき、進行上の大きな支障は無かったと思います。

-SFJ
ロックダウンの期間中Surfrider Foundation USAとしてはどこよりもいち早く、#STAYHOMEのメッセージを発信して、サーフィンをしないでと言う選択とそのメッセージを拡散しました。そしてそれは一部からの意見としてサーフィンするのは個々の自由と権利であり、全てのサーファーから100%賛同を得られなかったとも思います。当時の一連の団体としての決断や、様々な意見に関しては、今どのようにお考えですか?

-CN
誤解を恐れず言えば、我々もあの様なメッセージの発信や指針を取りたくは無かったですよ、勿論自分も一人のサーファーとして、いつ終わるかもしれない状況の中でサーフィンを控えようなんて意見は発信したくは無かったです。しかしながら、今現在もですが、あの頃は今以上に何も見えず、不安な状況下で我々が出来た最善の選択は、一番安全な方法を選ぶと言うことだったのです。ソーシャルメディアでも様々な意見が交わされていたもの理解していますし、同じサーフィンをするのでも、言わばウィルス感染の最前線にあるニューヨークやサンフランシスコと殆ど人も来ない、人里離れた地域のサーフィンとは全く違います。しかしながらアメリカ全体のサーフコミニュティに発信する主たるメッセージとしては未知のウィルスとその危険性に備えて、政府や各自治体と意見と連動して、今はSTAY HOMEしようと発信するのがベストの選択だったと思います。そして毎日の状況の変化や、新しい情報に臨機応変に対応して、いち早く我々が発信するメッセージも柔軟に変化していこうと考えてました。

-SFJ
その対応の変化が#STAY HOMEから#SHRED SAFE (安全にリッピングしよう)なのですね?

-CN
そうですね、メッセージの発信だけではなく、徐々に各地域のビーチが再オープンするにあたって、我々もCDC(アメリカ疾病予防管理センター)のガイドラインを参照にしながら新しいルール作りを進めていました。個々のサーファーに対する感染リスクを考えながら、海でどの様に行動すべきか等の推奨するルールの作成だけではなく、ビーチを管理する自治体やライフガードなど、サーフィンを楽しむ側、ビーチを運営する側、二つの軸を持って両方が理解できる、新たなルール作りをしてウェブサイトのトップページとソーシャルメディアから発信を開始しました。勿論全てが完璧ではなく、この新たなルール作りも状況に応じてまた変化していくと思います。我々の本来の目的はルールを作ることではなく、サーフィンが楽しめる海岸環境持続させる事であり、決してサーフィンする行為を管理して不自由にさせる事が目的ではありません。本来サーフィンは楽しむものであり、我々はその環境をミクロとマクロの両面で守る事です。その骨子自体にはなんら変わりはありません。

-SFJ
そして、いわゆるアフターコロナ、ニューノーマルの世界に於いてサーフィンコミュニティはどの様になると思いますか? 

-CN
今日この時点に於いて言える事ですが、しばらくは我々がいつも地域で行っていた様々なイベントを大きく開催するのは難しいと思います。とても残念ですが、夏に向け各地域で開催するムービーナイトやビーチクリーンの後に行う子供達も楽しめるイベントは少なくとも今年の夏の開催は難しいでしょう。今すぐに答えが出せるとは思えませんし、今後どの様に変化していくかもはっきりとは言い切れません。
しかし、旅する事や移動する事が大変な中で、各地域のコミュニティの結束力は強くなると考えます。それは決してローカリズムが昔の様に台頭する訳でなく、より人々が自分達の近い環境に目を向ける事に繋がると信じています。旅や移動が困難な分、今ある環境に対しての感謝や興味、そして人々対する協力度が増すのではと願っています。その小さなコミニュティ意識の集合体が、大きな流れを生む事でしょう。いつかまた旅が気軽に出来る様になった時には、より自分達の環境やコミニュティに誇りを持ちながら、他者や他所への理解が出来る様になるサーファーも増えるのでは無いかと、理想論かもしれませんがそう願っています。 

-SFJ
なるほどですね、サーフィンの世界に限ったことではなく、現在のヒエラルキーやフードチェイン的な頂点を軸とした三角形の社会構造ではなく、小さな丸いバブルが沢山集まり大きな丸を形成してそれが世の中の意見となり環境も変えて行く世界になると言った感じでしょうか?

-CN
そうです、もちろん全てそんなに簡単では無いし、今のアメリカの状況もご存知の様にデモ活動やコロナの感染者も減っていません。
しかしながら悲観的に全てを見て行動する訳にもいきませんし、こんな状況の中沢山の素晴らしい人々やその人達が発信する意見も一杯あります。先ほども伝えた様に我々の目的は、現在凄まじい勢いで変化していく地球環境をより良い方向へ持っていく事です。そして海やサーフィンに関わる人々が団結して、その取り巻く環境をより良く継続していく事が目標です。今回世界で起こった一連の動きの中、きっと学ぶべき事も沢山あり、より良き未来を創造し団結する人々の力を信じています。

-SFJ
今日は忙しいところお時間を頂きありがとうございます。最後に何かメッセージがあればお願いします。

-CN
確かに我々は今、大変な環境下にあります。それでも我々に協力してくれる様々な企業や機関、そしてボランティアの人々には感謝してもしきれません。 
そしてサーフィン、波に乗ると言う行為は自然がもらたしてくれた素晴らしいギフトでもあり、このサーフィンを出来る環境を永続的にする為にも、皆が協力し合い楽しみながら環境を守っていける様にこれからも我々は進んでいきます。