第6回『スポーツ国際開発』国際シンポジウム開催

2018年12月15日(土)、筑波大学 東京キャンパスにて「第6回『スポーツ国際開発』国際シンポジウム“持続可能な開発とスポーツ” 〜ジェンダー・障がい者・環境の視点から〜」が開催された。

SFJ写真①

ジェンダー、障がい者、環境という3つのテーマから、SDGs達成にスポーツという観点からどう貢献できるかを、実践的、学問的な両方の知見から考える機会をつくることを目的としたシンポジウムである。

ここでSDGsについて少し説明したい。SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称である。外務省によると、SDGsとは、「2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された『持続可能な開発のための2030アジェンダ』にて記載された2016年から2030年までの国際目標」である。

「持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)こと」を誓っている。

参照リンク:外務省 JAPAN SDGs Action Platform:「SDGsとは?」

17のゴールについては以下をご覧いただきたい。

cover-FJYt9mPELnramgZvNGdttaeTUUKrF7ka

開発途上国に対する開発支援、よりよい生活環境の整備、環境と平和の保護と維持など、世界中が抱える問題、そして結束して今解決に取り組むべき重要条項である。今回のシンポジウムはスポーツを用いたSDGs達成という、スポーツに携わる者として非常に興味深い内容であったと同時に、自然をフィールドとして活動する者として看過できない環境問題について改めて考える場を持つ貴重な機会となった。

SDGsの詳細については、以下のリンクをご活用ください。
外務省:JAPAN SDGs Action Platform「SDGsについて(PDF)」

シンポジウムは講演、パネルディスカッション、若手研究者発表、ワークショップに分かれており、国内外から著名な教授や関係者の集う国際的で分野を横断した、色鮮やかな場であった。

基調講演/講演

“スポーツの持続的開発目標への貢献における約束、課題と複雑さ”
Dr. Maarten van Bottenburg(Utrecht University)

“差別化からインクルージョンへ~インドにおけるMixed Ability Group Eventを例に~”
Ms. Sneh Gupta (Indiability)

“スポーツ界が社会変革・産業改革のリーダーへ”
澤田陽樹氏(Green Sports Alliance Japan)

“アクションスポーツのジェンダー開発に向けたパワーと可能性”
Dr. Holly Thrope (University of Waikato)

若手研究者発表

“Olympism and Sustainable Development Goals: A Comprehensive Overview and
Applications in Local Contexts”

若手研究者によるオリンピズムとSDGsの研究が発表された。

SFJ写真③

社会におけるオリンピズムの実践に関するコロンビアでの研究結果や、障がいを持つ女性のスポーツ参加への課題に関するルワンダの事例などが挙げられ、各国でなされるSDGs達成に向けた現状と課題が明らかとなった。

パネルディスカッション

パネルディスカッションでは発展的な意見交換がなされた。

SFJ写真④

各講師の取り組みとSDGs、スポーツとの関連性のテーマで、アクションスポーツやジェンダーを研究テーマとするニュージーランドのWaikato大学の教授Dr. Holly Thropeは、サーファーの下水問題に対する取り組みなどを挙げ、スポーツを契機とした環境意識の向上について着目されていた。

また、インドにある障がいのある学生のための無償の寮学校「SKSN」の代表理事であるMs.Sneh Guptaは、1998年からこれまでに障がいのある2500人の若者に対して小学校から高等学校レベルの教育を提供してきた。

2010年に男子学生をイギリスの国際スポーツ大会に派遣した翌年には、280人の保護者から女子学生の派遣要請があったことから、スポーツはジェンダーおよび教育に対して非常に前向きな影響を与えてたと話されていた。

オランダのユトレヒト大学の教授で、スポーツのグローバル化とコマーシャル化、エリートスポーツ政策、スポーツ参加の動向、スポーツの社会的意義などを研究領域とするDr. Maarten vanBottenburgは、持続可能な目標は交差しており相互関係があるため、エコシステムを構築していくことの重要性を説いていた。

またグリーンスポーツアライアンスの澤田氏は日本におけるスポーツ発展の契機として東京オリンピックを貴重なタイミングとし、オリンピックレガシーとしてシステムを構築し、残すことの必要性を説いていた。東京オリンピックレガシーとしてスポーツとしてシステムを残すことがサーフィン業界の目下の課題であると、澤田氏のお話を受けて確信した。

ワークショップ

「ジェンダー」「障がい者」「環境」の3分野に参加者が分かれ、各自の領域におけるスポーツを用いたSDGs解決に向けたアクションを企画するという内容であった。

SFJ写真⑤

「環境」分野はクリーンエネルギーによるスタジアム運営、スポーツファンクラブ会員によるビーチクリーンなどの発案があった。「障がい者」分野ではミサンガプロジェクトなどが、「ジェンダー」分野では陸上競技イベント
の男女参加者がユニフォームを交換して過ごし、トイレも交換するという画期的な取り組み案であった。

私たち市民レベルの意識が新たな解決法や議論の場を生みだし、そして具体的な解決策へ繋がる可能性を含む雰囲気を感じた。問題が複雑化する今、スポーツは単なるアクティビティではなく社会問題を解決する手段となっていきてる。

スポーツの力をどう活用するのか?私たちサーファーが今執るべき手段は、私たちのフィールドを維持するために他者と手を取り合い、環境問題の解決に向けて志をひとつにすることである。

スポーツを用いて社会を紐解く時代なのだと、シンポジウムを終えた後強く思った。

レポート / SFJアンバサダー 武知 実波

執筆者