インタビュー

INTERVIEW-Vol.24 池田陽一

現在、日本の各地でビーチクリーン団体が組織され、積極的に海岸の美化活動を行なっている。その草分け的な存在が、湘南を代表するクラシカルポイントの一つ、鎌倉・七里ヶ浜で活動している「七里ヶ浜クリーンコミュニティ」だ。1983年に誕生して以来、40年近くにわたりビーチの美化に努めている。その歴史をコミュニティを組織した初代会長の池田陽一さんに振り返ってもらった。

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池田陽一 / 写真  横山泰介
七里ヶ浜クリーンコミュニティ初代会長。鎌倉・七里ヶ浜出身。七里ヶ浜を愛するサーファー、地元住人と協力して七里ヶ浜クリーンコミュニティを組織した。地域をまとめるリーダー的な存在として人望を集める

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七里ヶ浜クリーンコミュニティの活動が始まってから、40年近く経つ。初めは、サーファーが多かったが、今では親子連れや地元の住民も増えた(写真:七里ヶ浜クリーンコミュニティ facebookより)

SURFRIDER FOUNDATION JAPAN (以下SFJ ) :七里ヶ浜クリーンコミュニティは、1983年にスタートとボランティアによるビーチクリーン団体として日本では先駆けの一つです。始めたきっかけは。

その前から皆、個々には海岸清掃はしていました。ただ、どうしてもゴミの量が多いので、「何とかしなきゃしょうがない」ということで、「では、会を作ろう」ということになりました。それと、その前にたまたま、幼かった息子が駐車場から海岸に下りた時に、ビンの破片で足をバサッと切ってしまったんですよ。当時、若者達が面白半分にコーラのビンを振って駐車場の岸壁にぶつけてバンと割れるのを楽しんでいたらしく……。それで「皆で、はだしで歩ける浜に戻そう」という声が上がりました。

SFJ :当初は拾ったゴミの処分に困ったそうですね。

市役所に相談に行ったら「海岸は県の管轄だから、神奈川県にかけ合って下さい」と。で、県の担当部署である土木事務所と話をして、毎週月曜日に取りに来てくれることになりました。トラック4トン車、5台ぐらいの量でしたね。

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今ではすっかりビーチに根付いた七里ヶ浜クリーンコミュニティの美化活動。地元のレジェンドサーファー曰く、「ローカルから慕われていた今は亡きビーバー(七里ヶ浜のベテランサーファー)が、長年にわたりビーチクリーンを率先していたのが印象深かった。彼が黙々とゴミを拾い運ぶ姿に、若いサーファーも影響を受けたと思う」(写真:七里ヶ浜クリーンコミュニティ facebookより)

SFJ :そんなにたくさんのゴミが落ちていたんですね。

ほとんどがバーベキューのゴミでした。というのも、ある雑誌に「(七里ヶ浜は)唯一、駐車場から1分で出られてバーベキューができるビーチ」と紹介されてしまったんですよ。誰かがポンとゴミを置いていくと、そこへ次々と、もう山になってしまう。それを日曜日の朝に、若いサーファーや地元の人が皆で集まって拾って、道路まで上げるんですよ。後は県の土木事務所の方が来て、どんどんトラックに積んでいってくれるんですけど……。ゴミが臭いからゲーゲー吐きながら、皆で皆片付けて……。それを何十年と続けてきたんですが、「これではしょうがない」と、皆で七里ガ浜はバーベキューを禁止にしたんです。ところが、行政のルールではなく、ビーチのコミュニティだけの決まりごとなので、「ふざけるな」とケンカ腰になる人もいました。ですが、段々と浸透して、観光客の方はバーベキューをやらなくなりました。

SFJ :地道な活動の成果が出たのですね。現在の活動内容は。

5月の連休明の日曜日から、10月の第1日曜日までが清掃日なんですが、毎週日曜日10時に200人ほどが集まってビーチクリーンをします。

SFJ :ボランティアで200人とは多いですね。

はい。皆で一斉に浜に下りて海岸清掃をするので、たった5分で奇麗になるんですよ。だから、沖で波乗りしているサーファーも、時間が来たらビーチに上がって手伝ってくれる。そうやっているから、自然と何十年も続いているんです。

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毎年、サーフィン大会を主催し、鎌倉消防署の隊員を招いて人命救急講習会も開催している。美化活動だけに留まらず、サーファーのコミュニティの活性化も図っている(写真:七里ヶ浜クリーンコミュニティ facebookより)

SFJ :会長がコミュニティを組織してから、ビーチの環境に変化は。

もう100パーセントよくなっています。自分達でもほれぼれします。今はバーベキューではなくて、海から流れてくるゴミだけですね。ただ残念なことに、観光客のタバコの吸い殻は多いです。コンビニエンストアで弁当や飲み物を買ってビーチで食べる。そのゴミは持ち帰るんですが、吸い殻はそのままということが少なくありません。

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2020年、長年にわたる美化運動の推進に貢献し、その活動が模範となる団体として、神奈川県から表彰された

SFJ :昨年、七里ヶ浜クリーンコミュニティの長年の活動が評価されて、県から「神奈川県美化運動推進功労者」として表彰されました。感想は。

皆、感想なんてないですよ。当たり前のことをやっているだけですから

SFJ :七里ヶ浜クリーンコミュニティはビーチクリーン団体のモデルケースだと思います。会長からサーファーへメッセージをお願いいたします。

波乗りをする人はまず、ビーチのマナーを守ってもらって、帰りにサーフボードだけでなく海岸にゴミがあったら一つでも持って帰ってもらえれば、少しでも奇麗になると思います。

SFJ :どうもありがとうございました。

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七里ヶ浜愛の強い池田さんは、地元のコミュニティのつながりを強くし、盛り上げるために地域活動にも力を入れる。町内会に子供みこしを寄贈したり、秋季例大祭に向けて子供達に太鼓を教えている